大人も苦手な敬語。小学生レベルと思ったら、意外と難しかったりするんですよね。
子どもに聞かれてもイマイチうまく答えられない。正しいと思って教えたら、子どもに矛盾をつかれた。そんな話も聞きます。
大人も子供も苦手意識が強い敬語ですが、実は勉強もしやすいし意外とシンプルで分かりやすい分野です。
敬遠していたらもったいない!
若干の暗記とパターン練習で、敬語は得意分野にできます。
深入りせず最小限の努力で敬語をマスターできるように、バッチリ解説いたします。
敬語は3種類
まずは敬語の全体像を把握しましょう。
敬語には大きく分けて3種類あります。
- 丁寧語
- 尊敬語
- 謙譲語
受験で問われるのは「尊敬語」と「謙譲語」がほとんどです。一般に敬語と聞いてイメージするのもこの2つですね。
丁寧語は「ですます」と覚える
核心に迫る前に、丁寧語をささっと説明します。
丁寧語というのは「です・ます」のついた丁寧な形のことです。行きます、食べます、言います……日常会話でもよく使う表現ですね。
丁寧語に関してはこれだけで十分です。
「お返事」の「お」、「ご確認」の「ご」も丁寧語に入りますが、中学受験では気にしなくてOKです。
尊敬語と謙譲語の違いは主語
尊敬語と謙譲語、この違いが分かりにくいのですよね。
- 尊敬語:相手の動作に使って敬意を表す
- 謙譲語:自分の動作に使ってへりくだる
ややこしいのでイメージを重視して説明します。
こんな気持ちを表すために使う言葉です。
ちょっと無理矢理で説明になっていないと思われるかもしれませんが、子どもに教えるとき、特に敬語のとっかかりの授業では反応が良かったです。
細かい理論よりイメージのほうが掴みやすいときもあります。
尊敬語と謙譲語の違いはイメージできたでしょうか。ここからは実際の使い分けを考えていきます。
尊敬語を使うか、謙譲語を使うか。どちらを選ぶかのポイントは「主語」です。
「社長は何を食べますか。私は寿司を食べます」
この文ではどちらも動詞が同じです。これでは自分の敬意が伝わりません。
聞いている人に「社長は私よりも上の人なんだ」と伝えるために、敬語を使います。
「社長は何を召し上がりますか。私は寿司をいただきます」
動詞が変わりました。「召し上がる」は尊敬語、「いただく」は謙譲語です。
社長は相手、上にしたい人です。上にしたい人(社長)の動作「食べる」を「召し上がる」にしました。
自分は下にしたい人です。自分がすることには絶対に尊敬語は使いません。常に謙譲語を使います。
下にしたい人(自分)の動作「食べる」を「いただく」にしました。
つまり上にしたい人(相手)の動作に「尊敬語」、自分の動作に「謙譲語」を使うのです。
- 尊敬語:相手の動作に使う
- 謙譲語:自分の動作に使う
自分の家族は「謙譲語」
間違えやすいのは、親や祖父母はどうするかです。自分より年上だし、と思って尊敬語を使う子も多いです。
正解は「謙譲語」で、自分と同じように考えます。細かく言うとややこしくなるので、子どもにはとにかく「家族は謙譲語」で押し通すのがベターです。
自分の会社や相手の会社といったビジネス敬語もあります。が、こちらも子どもには言わない方が良いです。混乱してしまいます。
敬語は深入りせずに基本のみを思えることが受験勉強としては大切です。
ペアで覚える「特別な形の敬語」6つ
「尊敬語と謙譲語はたくさんあって覚えきれない」と言われますが、実はそんなことはないんです。
確実に覚えて欲しいのは以下に挙げるもの。たったの6ペアです。
普段の生活で聞くものが多いのではないでしょうか。
尊敬語 | 謙譲語 | |
---|---|---|
行く/来る | いらっしゃる | 参る |
いる | いらっしゃる | おる |
食べる/飲む | 召し上がる | いただく |
見る | ご覧になる | 拝見する |
言う | おっしゃる | 申す |
する | なさる | いたす |
表の穴埋めや書き取りなど、原始的な方法で構いません。ここはしっかりと暗記しておきましょう。
あと3つ覚えるとさらに安心
ペアにはならないものの、必ず覚えておきたいものがあと3つあります。
- もらう (謙)いただく
- くれる (尊)くださる
- 聞く (謙)伺う・承る
「聞く」の謙譲語はニュアンスが違うので、あえて2つ書きました。
「うかがう」は「質問する」という意味の「聞く」です。「おうかがいしたいことがあります」といったフレーズで使います。
「承る」は「耳に入れる、受ける」という意味です。
サービスの申し込みやコールセンターで「本日は、鈴木が承りました」なんてフレーズを聞いたことがあるかもしれませんね。
何でも敬語に!便利フレーズ
受験で問われるのは「特別な形」がほとんどですが、どんな動詞も敬語に変えてしまう便利な言葉も覚えておきましょう。
尊敬語:お~になる・~れる・られる
何でも尊敬語にできるのは「お~になる」「~れる・られる」の2つです。
- お~になる
- ~れる・られる
「社長が部下の話をお聞きになる」「先生が話される」など、様々な動詞と使えます。
コレだけ覚えれば大丈夫と思えるくらいに便利ですが、特別な形の敬語は必ず覚えましょう。
受験では「お食べになる」ではなく「召し上がる」を答えさせることがほとんどです。
「特別な形なんていらない」と子どもは言いますが、そんなに甘くないんですよね。
謙譲語:お~する
謙譲語にも便利な形があります。
- お~する(写真をお撮りします)
尊敬語と混同しがちで、大人でも間違いの多い使い方です。
「荷物をお持ちします」「順番が来たらお呼びします」など、実際に聞いたことのあるフレーズで覚えると間違えにくくなります。
敬語の勉強法はパターンで十分
「敬語は難しい」という思い込みから必要以上に敬語の勉強をさせたくなってしまう気持ち、分かります。
でも、敬語は簡単なパターン練習ができれば十分です。
まずは尊敬語と謙譲語の概念を理解して、特別な形を覚える。あとは書き換え問題などで、使い分けができればOKです。
<書き換え問題の例>
・先生が僕の家に(来る⇒ )。
答え=いらっしゃる
▼練習問題をダウンロードする
中学受験では深入りしない
敬語の勉強は大切ですが、ほかにも勉強することが山ほどあります。敬語だけに多くの時間を割くわけにはいきません。
偏差値60以上の上位学校を目指すのであればしっかりとした反復練習が必要ですが、そうでなければ深追いせずに、ある程度分かれば良しとして他の勉強に時間をかけたほうが効率的です。
とくに偏差値40台までは、漢字や語彙を身につけましょう。差がつきます。
基本さえ覚えれば、敬語はラッキー問題になります。
基本はしっかり身につけて、それ以上は他の勉強とのバランスを考えて取り組みましょう。
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