2年生の娘が入室テストに落ちてしまった…再挑戦までに何をすれば良いだろう
SAPIXの入室テストは難しく、落ちてしまうこともめずらしくはありません。
SAPIX入室を目指したリオさん(仮名)も入室テストに落ちて泣いてしまったそうです。
それでも本人が絶対にSAPIXに通いたいと望んだため、要請を受けて私がサポートをすることに。
問題と解答を見せてもらい、問題作成のポイントを伝授しました。
見事合格して入室を決めたという連絡をいただいたため、本人の了解を得て、入室テストに落ちてしまった原因と再テストまでの勉強内容を公開します。
私が提案した内容もあわせて載せますので、低学年で入室テストの再チャレンジを検討する人の参考になれば幸いです。
リオさん(2年生)について
リオさんはもともと塾に通っておらず、学校の宿題と東進のオンライン授業(算数)をのんびり頑張ってきたそうです。
学校のテストはいつも80~90点ぐらいで、目立って優秀と言うほどではないもののきちんとやることはこなしてきたんだとか。
今まで経験した学校外のテストは全校統一小学生テストくらい。
入室がかかるような真剣勝負のテストが初めてというのも、落ちてしまった1回目のテストには影響があったと考えているようです。
1回目の入室テストでリオさんが取れたのは3割程度。合格にはあと数十点必要でした。
悔しさをバネに勉強を頑張って、1ヶ月後には前回の2倍近い点数を取り、見事合格を果たしました。
ちなみにリオさんが合格したときの基準点は算国合わせて200点満点中の80点台でした。SAPIXの2年生入室テストは4~5割が合格ラインになっているようです
リオさんが落ちてしまった原因
リオさんが入室テストに落ちてしまった原因は大きく分けて3つあります。
原因はすべて「学校のテストとは大きく違う」ということに集約されます。
原因1:問題文を読んでいない(国語)
リオさんが間違えた問題のなかには「ぬき出しなさい」と書かれているにも関わらず自分の言葉で書いてしまったというものがいくつかありました。
「書きぬきなさい」「ぬき出しなさい」という問題には慣れていなかったのかもしれません。
ぬき出しだと理解できていれば取れたであろう点数は国語全体で10点近くになるとか。
実は高学年でもよくやってしまうミスなのですが、やっぱりもったいないですよね。
注意したのに2度目のテストでもやってしまったと、親御さんは嘆いてました…
原因2:問題文が難しい(算数)
リオさんの解答を見ると、問題文が理解できていないと感じる間違いが多かったです。
そう、SAPIXのテストは問題文が難しいのです。
たとえば学校のテストだと「3×6=□」と聞くところが「3×□=18」になっているとか。
「100円持って買い物に行き75円のりんごを買った」ではなく「100円持って買い物に行き25円のりんごを3つ買った」とか。
さらに図形や組み合わせの問題も出され、家で親御さんが解くときも苦労したそうです。
学校ではシンプルに理解度を測る問題が出ますが、SAPIXでは理解を組み合わせないと解けない応用問題が出題されます。
冷静に考えれば分かる問題でも、テストの雰囲気と難解な問題文に飲まれてできなかったという部分も大きいでしょう。
原因3:時間が圧倒的に足りない
リオさんは国語も算数も最後まで解き終えることができませんでした。
算数にいたっては大問をひとつまるまる解かずに時間切れになってしまい、答案を見た親御さんはおどろいたと言います。
点数だけを考えれば最後まで解き終えなくても合格はできるのであせらなくても大丈夫です。
ですがリオさんは、学校のテストではいつも全部解いて見直しをする時間があるくらい余裕があると言っていました。
入室テストでは残り時間が気になってしかたなく、集中できなかったようです。
再挑戦までの勉強のポイント
答案を見てリオさんの克服すべきポイントは問題文と時間だと分かりました。
とはいえ家庭で国語の長文読解や算数の図形問題を対策するのはなかなか難しいです。
できるに越したことはありませんが、家で難解な問題に取り組むのは子供にとってハードルが高いですしね。
親御さんの負担も考えて、合格ラインを超えることを目標に少しずつ勉強を進めるよう提案しました。
平日は30分、休日は1時間を目安に
もともと普段は宿題ぐらいしか家庭学習をしていなかったリオさん。
急にたくさん勉強時間を取ってしまうと負担が大きくやる気も下がってしまうので、平日30分休日1時間のボリュームを目安にします。
SAPIXの場合、3年生までの入室テストは国語と算数だけです。
日替わりで勉強すれば週に1科目2時間は勉強できますし、実際にやってみると直しや解説で時間を延長することがほとんどです。
学校の宿題も並行してこなすため、低学年としては十分な勉強時間と言えるでしょう。
時間を計って勉強する
入室テストで初めて時間が足りないという経験をする子はたくさんいます。
家でも時間に追われる感覚を養うため、目標時間に設定したタイマーを使います。
目標時間はそこまでシビアに設定しなくて構いません。
まず一度解かせてみてかかった時間を確認し、次からはそれよりちょっと短い時間にタイマーを設定すればOKです。
テスト中に時間を計られているというだけで集中力や真剣度は大きく変わってきます。
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国語は漢字と語彙を中心に
国語の勉強は漢字と語彙を中心に行います。
本当は長文読解を入念に練習したいところですが、入室テストに合わせた問題は少ないですし時間の余裕もありません。
平日は漢字と語彙を合わせて15問くらい、休日は漢字10問と市販の(もしくはネットで見つけられる)読解問題を使います。
漢字はその学年で習うものすべてを範囲として勉強します。
さらに教科書や学校のドリルではあまり見ない熟語も勉強してもらいました。
たとえば「切る」ではなく「大切」、「弱い」ではなく「弱点」という感じで、教科書では出てこないものの漢字自体はその学年で習うという単語は差がつきやすいです。
簡単な漢字でも見慣れない単語で出題されると正答率は一気に変わってくるので、語彙と漢字をまとめて覚えていきます。
語彙は反対言葉や接続語(つまり、だから…)、助詞(は、を、に…)を選べるようになるのを目標に勉強してもらいました。
低学年はとくに記憶の定着に時間がかかるので、優先すべきは量より質です。
間違えたものは何度も繰り返して少しずつ確実な知識を身につけていくことが重要です。
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入室テスト対策(低学年・漢字)
算数は計算と文章題を中心に
算数の勉強は計算と文章題を中心に進めました。
本当は図形もやったほうがと思ったのですが、リオさんは算数が好きではないとのことなのでハードルを下げました。
可能ならSAPIXの本を使って図形に慣れておくと良いと思います。
計算や文章題は1度テストで出題されたものをベースに、細かい数字を変えてパターンに慣れるよう徹底します。
低学年では習ったものが少ないため、算数はそれほどパターンが多くないのです。
虫食い計算なら数字と穴の位置を変える、文章題なら数字とものを変える。
パターンが同じ問題は、大人からしたら簡単でも子供からすると難しいものです。
テストで出るパターンに慣れていくと問題文をきっちり読む大切さにも自然と気づけます。
間違えた問題は徹底的に復習
国語も算数も、間違えた問題はできるまで何度も繰り返すのがポイントです。
たとえば漢字なら、間違えたものは同じ問題文で構わないので次も解かせます。
単に使える知識が増えるだけでなく、前回できなかったものができるようになったという達成感や充実感につながります。
低学年はモチベーションが下がるとえんぴつを握ることすら拒否するので、とにかく勉強を楽しいと思わせることを重視しましょう。
3年生までは家庭での対策で合格できる
1度目のテストでは空欄が目立ったリオさんですが、2度目の解答用紙はすべてうめられたそうです。
もちろん満点ではありませんが、最後まで解ききれるようになったのは毎日コツコツ勉強したからこそだと思います。
家庭教師や別の塾などの力を借りずとも、低学年ならSAPIXの入室テストには合格できるということが証明されました。
もちろん1ヶ月間リオさんのために問題を作って勉強を見てあげた親御さんの努力あっての合格でもあります。
もしリオさんの親御さんのように1ヶ月見てあげようと思えるなら、ぜひリベンジを目標に頑張ってみてください。
1度目の入室テストは力試し。
2度目からが入室をかけた戦いです。
リベンジ達成の輝かしい合格を願っています!
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